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和ム事ツレヅレニ。

by aruroco
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アリーテ姫
アリーテ姫 / 東宝 ISBN : B000075AVK

ダイアナ・コールス原作による「アリーテ姫の冒険」をアニメ化した作品。自由を求めてお城を抜け出したお姫様の冒険を描いた、アドベンチャー・ファンタジー。







『魔女の宅急便』で監督補を務めた片渕須直が初監督した劇場用アニメ。
婿となる男性が現れるまで無垢な身でいなければならないアリーテ姫が、自分の人生を捜す旅に出る決心をする。
制作は『MEMORIES』などを手掛けたクリエーター集団・STUDIO4℃。


『アリーテ姫の冒険』と言う絵本は、以前から興味がありました。
お伽話のお姫さまと言えば、悪い魔女に捕まって、王子様が助けてくれるのをひたすら待ち、最後には王子様と結ばれてめでたしめでたし…と言ったモノがセオリー。
でもこのお話は、そんなステレオタイプのお姫さまは出て来なくて、自分から冒険に出かけるアリーテ姫が主人公。
出版当時、色んな物議を読んだそうです。
これは、その絵本を原作にした、劇場版アニメ作品。
BSで放送すると知って、とっさに録画しちゃいました。


城の抜け道を使って、城下に出る事を知ったアリーテ姫。
街の職人たちの店を遠巻きにし、
『魔法は使えないけれど、確かに人の手は、魔法のような力を秘めている』
『それじゃあ、この手にも…?』
自分の両手をじっと見つめるアリーテ姫。

市井の人々の生活に直に触れる事で、自己に目覚めて行くのが、冒頭のシーン。
コレがとても印象的です。
城の塔に閉じ篭り、いつか相応しい伴侶があらわれるその日まで、清い身でいる事を義務づけられたお姫さま、その自分の運命に疑問を投げかける姿は、とても純粋で愛おしい。

アリーテ姫の台詞は、中身のあるリアルさがあって、どれも心に響きます。
確かに美人じゃないけど、男性も及ばない知性と賢さを持ったアリーテ姫。
ソレが、お姫さまとして生まれて来てしまった彼女にとって、悲劇なのかどうかは分からないけれど、
『自己表現』『自己啓発』
そう言った現代の若い世代が抱える問題を、共有している彼女には、共感せずにはいられないものがあります。

私たちだって、生活に何不自由ない現代日本に生まれた、
ある意味塔に閉じ込められたお姫さまと、同じような存在なのかも知れない。
『良い学校に入って』
『良い会社に入って』
『良い相手と結婚して』
『良い家庭を築く』
そのレールから外れてしまったら、落伍者として白い目で見られてしまう。
ソレは分かるけれど、
でも、自分にはもっと他の力が眠っているんじゃないか…?
そう思う心が止められなくて、でも勇気が出なくて、
結果、更に深い社会の溝に落ちていってしまう。

その痛みを、アリーテ姫が代弁しているような気がして、
ソレは考え過ぎかしらん…?と思いつつ。

『子供に見せたい』と思うアニメって、最近少ないと思うんです。
説教臭い話は、どうかなー?って思うけど、
それでも、コレを見て、子供たちに何かを感じ取って欲しい、
そう思わずにはいられない、良い作品です。


…でも実際は。
塔に閉じ込められて、素敵な王子様が助けてくれるのを待つ、
こんな設定に憧れる、お姫さまな女のコを責められません。
私だってそうだもの(苦笑)

やっぱり女の子って、永遠のお姫さま願望は抜けないんだよね〜☆
by aruroco | 2005-12-11 04:56 | 感 想 駄 文